水泳、英語、ピアノ…最近ではダンス系の教室にも人気が集まる子供の“習い事”ですが、その目的は家庭によって様々です。
でも、共通するのは“子供のため”ということ。

ここでは、“子供が育つ”ために適した習い事について、「身体性」「精神性」「将来性」をキーワードに、科学的な知見に基づき紹介します。
人気の英語教育についても、脳科学的な見地からの意見を紹介しますよ。

1.昨今の習い事事情

『ケイコとマナブ.net』によると、2015年の習い事ランキングは
1位 水泳
2位 英語・英会話
3位 ピアノ
4位 体操、5位 学習塾・幼児教室、6位 サッカー、7位 書道、8位 ダンス、9位 空手、10位 そろばん
となっています。

一方で、親が習わせたい1位は英語・英会話。将来性と、近年始まった小学校での英語授業による影響が大きいといえるでしょう。
以降、書道、水泳と続いています。

また、現代ならではの習い事も増えています。
その一例が、パソコン教室。Windowsなどによるパソコン操作はもちろん、簡単なプログラミング言語や自作のパソコン組み立てなども体験できます。
ITを“使う人”ではなく“創る人”に…という、将来性を見越しての習い事と言えるでしょう。

2.習い事の意義

各家庭により、習い事の目的は様々です。
でも、“子供のために身につけさせたい”という思いは同じでしょう。

でも、意外と“子供のため”の部分を勘違いしている親が多いのも事実です。

習い事とは、子供の可能性を広げる手段です。
子供は習い事を通して“何か”を身に着け、それを糧に将来へと羽ばたいていくのです。

いつか社会に出たとき、好きな職業に付けるようにと望み、それに直結するスキル(塾や英会話など)を小さいうちに始めることが間違っているとはいいません。

でも、直結するスキルを身に着けるよりも前に、その目的に達するまでの困難に打ち勝つスキル(体力、持続力、理解力、集中力など)も必要ではないでしょうか?
これらを養った後に、直結するスキルを習得した方が、時間的にも能力的にも負担が少ないはずです。

3.脳や身体の発達について

これは脳科学的な理論にも基づいています。
人の脳は、7歳まで直感力が養われ、8歳までに言語脳が完成し、それ以降に思考力を得、その後、11歳までにこれらを総合した判断ができるように発達するといわれています。

英語に関していうと、心の中まで英語で思考する(ネイティブスピーカー)のではなく、日本語で考えてから英語で話すのであれば、12歳以降の方が適している…と言えるのです。

また、身体の発達が脳に影響を与えることも報告されています。

体を動かすには脳の様々な部分の制御が必要です。
「敏捷な身のこなしや状況判断などの思考判断を要する全身運動は、脳の運動制御機能や知的機能の発達促進に有効である」といわれており、各国で「運動は1日60分以上」という指針があるくらいです。

さらに運動することで情緒面や創造性にも好影響があるといわれています。
運動をよく行う子供は社交性や忍耐力、クリエイティブ面が発達し、ストレスへの対応力も増す傾向があるといわれています。

脳の発達は12歳までですから、運動もこの時期までが適切ということになりますね。

逆に、12歳以降はガンガン勉強する時期です。
脳の能力もそれに適した状態に育っているはずです。
英語や学習塾だって、この時期から始めても遅くはないですね。

4.おすすめの習い事

以上のことを踏まえると、小学校を卒業するまでの間は運動を中心に、“読み書きそろばん”をプラスするのが良いでしょう。
日本に限らず海外でも“スリーアールズ(=reading,writing,arithmetic)”と言われ、子供の実用的な知識として必要とされているものです。

具体的におすすめの習い事をあげるなら、次のようになります。

1位 運動系(水泳、サッカー、野球、ダンス系など)
2位 書道・そろばんなど(実用的な基礎力)
3位 ピアノ

1位の運動系はどれか1つで構いません。
水泳が合わないならサッカーに変えてもOKです。
でも、『注意』の項もお読みくださいね。

中でもおすすめはダンス系。
「音楽に合わせて踊る」ことで、ピアノと同じように“地頭(じあたま)”を鍛えられるといわれています。詳しくは後程。

2位に関しても、どれかで良いと思いますが、個人的には書道をおすすめします。
美しい字の習得はもちろんですが、書道では分析力と振り返り力が身に付くからです。

書道では、お手本と直された自分の字を見比べることで、何がいけなかったのかを分析することになります。そして、それを振り返りながら書き直すのです。
書道の場合、半紙一枚ごとに分析と振り返りを行うので、これを数分間ごとに繰り返し実践できるのです。

こういった分析や振り返りを習慣化できると、学業のみならず社会にでてからも役立つこと間違いなしです。

3位のピアノは趣味的なきっかけで始めさせる人も多いと思いますが、別のメリットがあります。

それは“地頭”が良くなるということ。
地頭とは、一般的知能ではなく人間性知能がある人のことで、夢や目的に向かって適切に行動する能力や、理性・思いやり・協調性を身に付けて生きる能力のことで、カルビーなどの大企業でも注目されている、人としての基本的な能力です。

基本的とはいうものの、勉強偏重によって育った「勉強はできるのに人間的に弱い人」では、これからの日本ではやっていけないと考える経営者が増えているということですね。

ピアノは両手指を別々に動かし、譜面の先読みをすることで演奏します。こういった全く別々の機能を同時に行うことが、脳の発達に良い影響を与えるというのです。

前述のダンスも、音楽を聴きながら次のステップを先読みして四肢をバラバラに動かし、周囲の人の動きにも考慮するという作業を同時に行っています。

習い事の本質は、実は脳の発達を適切な時期にしてあげるところにあるのではないでしょうか?

5.注意

始めた習い事は、できれば頑張って続けてほしいものです。
とは言っても、子供に合わない場合だってありますよね。

でも、やめる前に必ず1つは“達成感”を味わわせてあげることが肝心です。
どんなに小さいことだって構いません。顔を水につけられるようになった、ボールがまっすぐ蹴れるようになった…などでも良いのです。

いちばん悪いのは「できないからやめる」です。
これでは子供に“諦め”と“挫折感”を植え付けてしまいます。

子供と親との双方が「できるようになった」ことを誇りにして、方向転換するようにしましょう。